石膏ボードは、建築やリフォームの際に低価格で扱いやすく、非常に多く使用される建材です。しかし、石膏ボードの適切な処分方法を知らない方も多いのではないでしょうか。
石膏ボードは、正しい方法で処分しないと法律違反となる場合や、環境に悪影響を与える可能性があります。ここでは、石膏ボードの捨て方、処分方法、処分費用、適正に処分しなかった場合の罰則、リサイクル方法などを詳細に説明します。
石膏ボードは産業廃棄物として処理する必要がある
低価格な建材として重宝される石膏ボードですが、「産業廃棄物」として処理する必要があります。
その理由としては、石膏ボードは、石膏(硫酸カルシウム)を主成分とした建材であり、製造時や使用時に化学物質(例:添加物や防火剤)を含んでいることがあり、これらの物質が不適切に処理された場合、環境や人体に悪影響を与える可能性があります。
そのため、法令で、産業廃棄物として処理する必要があります。
石膏ボードはどうやって捨てればいいの?
産業廃棄物として処理する必要がある石膏ボードですが、実際にどのように処分すればいいのでしょうか。
自治体のごみ回収では回収できない
まず、個人で、解体やDIYで発生した石膏ボードを処分しようとした場合ですが、石膏ボードは、「産業廃棄物」として処理しなければならないため、自治体のごみ回収に出すことはできません。
※一部の自治体では、特別に回収日を設けているところもあるようです。
基本的には専門業者に依頼
大量の石膏ボードを処分する場合や、建設現場で発生した場合、専門の廃棄物処理業者を利用することが一般的です。
産業廃棄物処理業者は、リサイクルが可能な石膏ボードを適切に処理し、再利用することもできます。
気になる石膏ボードの処分費用は?
産業廃棄物として処分する場合、石膏ボードの処理費用は1トンあたり5,000円~10,000円程度が一般的です。ただし、これは業者や地域によって異なり、追加料金(運搬費、処理費用など)が発生することもあります。
石膏ボードの量が多ければ、運搬費が別途かかることがあります。例えば、少量の場合は運搬費用が安く、数トン以上になると、運搬費用が高くなる可能性があります。運搬距離や処分地によって異なるため、事前に業者から見積もりを取ることをお勧めします。
また、石膏ボードの状態(リサイクル可能かどうか)によっても金額が異なることもあります。
リサイクルが難しいのは、水に濡れてしまっているもの、ミンチ状、他の廃棄物と混ざったもの、ビニールクロスが貼られているものなどは、リサイクルができません。
手軽に使えることで重宝される石膏ボードですが、このように高い処分費用がかかるのです。
高額な処分費用から「不法投棄」されることも
石膏ボードの処分には、高額な費用がかかるため、不法投棄されることもあります。
また、悪質なものの場合、建設工事中に壁の中に捨ててしまうといったこともあるようです。
適正に処分しなかった場合、どうなる?
石膏ボードを適正に処理しなかった場合、「廃棄物処理法」に違反することとなり、以下の罰則が適用されます。
5年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる場合があります。
※法人では、3億円以下の罰金
また、業者に依頼する場合にも注意が必要で、適切な許可を持たない業者は、収集運搬が禁止されていますので、業者に依頼する際は、きちんと、許可を持った業者かどうかを確認してから依頼するようにしましょう。
回収された石膏ボードはどのようにリサイクルされる?
回収されたリサイクル可能な石膏ボードは、リサイクルプラントで粉砕され、再生資材として建設現場や農業用途に使用されることが多いです。特に、土壌改良材や肥料として再利用されることが一般的です。
建設素材としては、セメントやモルタルの原料として使用されることがあります。
農業用としては、土壌改良材として、石膏が使用されることがあります。石膏は土壌のpHを調整するため、農業でも重宝されています。
環境保全のためにも正しい方法で石膏ボードを処分しましょう
石膏ボードの適正な処分は環境保護と法令遵守に欠かせません。不適切に処分した場合、厳しい罰則や環境への悪影響があるため、適切な方法で処理することが重要です。石膏ボードのリサイクルを進めることで、資源の有効活用と環境への配慮が可能になります。